子供たちの健やかな成長を
見守る町のお医者さんに
そもそも“ワクチン”とは、
どんなものなのでしょう?
私たちの身の回りには、細菌やウイルスによって
引き起こされるさまざまな感染症があります。
これらを防ぐためにもっとも有効な手段が“ワクチン”です。
ワクチンは、感染症の原因となるウイルスや細菌を
精製・加工して、病原性(毒性)を弱めたりなくしたりして、
体にとって安全な状態にしたものです。
本当にかかってしまう前にワクチンを接種して、
その感染症に対する抵抗力(免疫)を作っておくことが必要になっていきます。
for parentsお父さん、お母さんにむけて
赤ちゃんや子どもは、
病気に対する抵抗力(免疫)がたいへん未熟です。
生まれる前にお母さんからもらった免疫(抗体)も、
数か月たてば弱くなってしまいます。
病気にかかってしまうと、重い後遺症が残ったり、
命がおびやかされたりすることも。
そうならないためには、予防が一番。
そのもっとも安全で確実な方法が、予防接種です。
reasonワクチン治療に当たって
◆流行している、重症になりやすい病気を優先する
地域で流行している,また重症になりやすいワクチンで防げる病気があれば、
まずその予防接種を優先します。

◆接種年齢(月齢)になったらすぐに受ける
ワクチンは「受けられる時期が来たら、すぐ受ける」ことが基本です。
定期接種の接種期間を「これからいつでも接種できる、この期間内に接種すればいい」と考えていてはダメ。
病気にかかる前に受けなければ意味がありません。

◆効率的・効果的な受け方を考えて、同時接種を取り入れる
いちど予防接種を受けると、次の接種を受けるまで一定の期間をあけることになっています。
しかし、病気の予防に必要な免疫を早く、確実に獲得することができる同時接種は、子どもにとって必要な方法であります。

◆わからない時は早目に医師に相談する
「かぜをひいたけどいつから受けられる?」
「アレルギーがあるけど大丈夫?うーん、わからない…。」
そんなときは、ひとりで悩むよりかかりつけの小児科医に早めに相談を。
任意ワクチンを含めてすべての情報を知っている小児科医に相談することをおすすめします。

◆「ワクチンデビューは生後2か月の誕生日」スタートダッシュが肝心
赤ちゃんの予防接種は種類も回数も多く、きちんと受けるのはたいへんです。
とくに0歳の赤ちゃんは、6~7種類もあり、接種回数は15回以上にもなります。
多くのワクチンをタイミングよく確実に受けていくにはスタートダッシュが肝心。
初めてのワクチンは生後2か月の誕生日に受けられるように準備しておきましょう。
4月25日生まれの赤ちゃんなら6月25日がワクチンデビューの日に決定です。

schedule予防接種スケジュール
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生後2か月までの
お子さんの保護者の方へ「ワクチンデビューは、生後2か月の誕生日」
病気から子どもを守る完璧スケジュール -
生後3~5か月までの
お子さんの保護者の方へ「まだ間に合う、生後3~5か月からのワクチン」
同時接種で追いつく安心スケジュール
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1歳前後の
お子さんの保護者の方へ「保育園や育児サークルなど集団生活とワクチン」
入園前にワクチンを考え出した方に向けてのスケジュール -
年長さん(小学校入学前年)の
お子さんの保護者の方へ「来年度は小学生。入学までに受けておきたい」
入学準備ワクチンスケジュール
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小学校を卒業するお子さんの
保護者の方へ「もうすぐ、中学生。思春期のワクチンチェック」
思春期スケジュール
doctor院長紹介

院長
橋村 裕也
Yuya Hashimura
経歴
医学博士
日本小児科学会 小児科専門医
日本腎臓学会 腎臓専門医
厚生労働省 臨床研修指導医
所属学会・認定医
- 日本小児科学会
- 日本小児腎臓病学会
- 日本腎臓病学会
- 日本アレルギー学会
- 日本外来小児科学会
よくある質問
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予防接種の後に発熱することは比較的よくあることです。ただし、予防接種による発熱であれば、心配する必要はあまりありません。発熱以外の症状はほとんどありませんし、たいていは何もしなくても1日程度で下がるからです。 しかし、心配なのは予防接種以外の原因、すなわち、病気による発熱です。これを”紛れ込み”といいます。かぜのようなウイルス感染症や、細菌による髄膜炎や尿路感染症など重い病気のおそれもあります。 予防接種による発熱と、病気による発熱を区別するのは簡単なことではありません。38度以上の熱が出たり、哺乳力が弱くなったり、機嫌が悪くなるようなときは、接種医に連絡をしたり、できるだけ早めに受診しましょう。
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赤ちゃんの予防接種では、ワクチン接種後におこる副反応が心配ですね。実際には接種した部分が赤く腫れたり、少し熱が出たりする程度の軽い副反応がほとんどで、これらは2、3日以内には治まります。生ワクチンでは熱や発疹などその病気の症状が軽く出ることもあります。また、ワクチンに含まれている成分に対する強いアレルギー反応(アナフィラキシー)や、脳症や脳炎など中枢神経の合併症も報告されますが、ともに非常にまれなものです。 ワクチンも医薬品の一種ですので、効果がある反面、副反応の可能性がゼロというわけではありません。しかし、ワクチンほど世界中で広く使われ、さらに使用後の調査が行われていて、安全性が保証されている医薬品は他にありません。実際にワクチンの安全性はとても高く、ワクチン接種はWHO(世界保健機関)が先頭に立って世界中で推進されています。
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「まだ小さい赤ちゃんがワクチンを受けて大丈夫?」保護者の方が不安になるお気持ちもわかります。でも、安心してください。 日本で同時接種が積極的に導入されたのは10年ほど前ですが、米国では20年以上前から、予定よりも早く生まれた赤ちゃんでも生後2か月から6種類を同時接種で受けています。 人の免疫システムには十分な余裕があり、一度に多くのワクチンを接種しても対応する能力があります。まだ免疫力が未発達な赤ちゃんが10種類を同時接種しても体にかかる負担はほんのわずかで、持っている免疫システム全体の0.1%くらいしか使用しません。
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ウイルスや細菌などの病原体が体内に入ってくると病気を起こしますが、体には病原体をやっつけて病気を治そうとするしくみが備わっています。このような体のしくみを「免疫システム」といいます。しかも多くの場合、体は一度入ってきたことのある病原体を覚えていて、次からは病気が起きないようにすばやく対応できるようになります。 ワクチンとは、病原体に対する免疫をつける性質は残しながら、病気は起こさないように病原体の毒性を弱めたり、なくしたりしたものです。 ワクチンを体に入れる(ワクチン接種)と、体に大きな負担をかけたり危険にさらしたりすることなく、免疫をつけることができます。ワクチンで前もって免疫をつけておけば、その病気にかからないか、かかっても軽くすみます。その結果、他の人に病気をうつすことも防ぐことができるのです。
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ワクチンは極めて安全な医薬品のひとつです。でも、副作用がまったくない医薬品がないように、ワクチンも接種した後に副反応が起こる可能性はゼロではありません。ただし、ほとんどの副反応は軽い症状で、重大なものではありません。特に重いアレルギー体質や免疫の病気などがなければ、健康な子どもたちに重大な副反応がおこることは極めてまれです。 ただし、極めてまれだとしてもワクチンのリスクはゼロではありません。それでも、ワクチンを受けるのは、VPD(ワクチンで防げる病気)を予防するメリットの方が、ワクチンのまれなリスクよりもはるかに大きく、意義があるからです。